現代美術展「Condition Report: Mode of Liaisons」
~東南アジアと日本のキュレーター21人が考える「東南アジアとは何か?」~
[開催期間] 2017/3/31– 7/9 [会場] Bangkok Art and Culture Centre (BACC) [来場者数] 49,910 名
国際交流基金アジアセンターは、バンコク芸術文化センター(BACC)との共催で、現代美術展「Mode of Liaisons」展を次世代の美術キュレーター育成事業である「Condition Report」プロジェクトの一環として開催いたしました。
東南アジアと日本の若手キュレーターが協働で行う美術プロジェクト「Condition Report」は、「東南アジアとは何か」という共通のテーマの下、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスと日本のキュレーター21名が4つのグループに分かれ、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコクでそれぞれ作り上げる4つの大型協働展と、次世代キュレーター14名による個別の小規模展で構成されています。
「Mode of Liaisons」展は、4つの大型協働展の締めくくりにバンコクで開催されたもので、BACCのキュレーター、ピチャヤー・エイム・スパワーニット氏によるキュレーションの下、4人のコ・キュレーターが協働し、7か国・19組のアーティストが参加しました。会場で展示される作品は、半数のアーティストが本展のために新たに滞在制作をして作り上げた新作であり、絵画、彫刻、映像、インスタレーションやパフォーマンスなど様々な形態をとり、会期中には、4人のコ・キュレーターによる関連プログラムや、随時来タイするアーティストによるパフォーマンス・レクチャー、演劇などの実施にも成功いたしました。
「Mode of Liaisons」は、日本語に訳すと「連携の方法」という意味になります。
そこには、アーティストが作品に込めた意図のみではなく、作品を有機的なものとして捉え、その起源である生態系にまで目を向け、アーティストのルーツについて、作品が鑑賞されるコミュニティについて、また、時間・場所・人との関係性に応じて作品を拡張・維持・移動させるネットワークシステムについてまで考えを巡らせる、という意味が込められています。
また、個々の作品への解釈よりも、全体としての意味の協調を重視しているため、ローカルな文脈の複雑さと同時に国際都市の越境性に取り組む美術という分野における、キュレーターとアーティストの知覚を通して、東南アジア域内のものの見方をまとめることも試みています。
「東南アジアとは何か」という大きなテーマの下、参加するキュレーターとアーティストがいかにお互いの社会、文化、歴史、そして関係性を理解し、どのように地域のアートシーンに協働して貢献してけるかという挑戦としても意義のある展示となりました。
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Condition Reportプロジェクトについて:
国際交流基金アジアセンターは、東南アジアと日本の若手キュレーターが協働で行う美術プロジェクト「Condition Report」を、東南アジア各地で開催しています。
本プロジェクトは、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスと日本のキュレーター21名が4つのグループに分かれ、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコクで行う4つの大型協働展と、次世代キュレーター14名による個別の小規模展で構成されています。そして、共通のテーマは、「東南アジアとは何か」です。
東南アジアは、地理的条件はもとより多様な民族、宗教、言語をもとに多くの国々が西洋の植民地支配と戦後の独立、東西冷戦構造下での国民国家形成の過程を経て、近年の経済発展によって大きく社会・文化が変貌しつつあります。1967年結成のASEAN(東南アジア諸国連合)は当初5カ国から始まり現在では10カ国で構成され、東南アジアと呼ばれる地域とほぼ同一地域となりました。地域概念としての東南アジアは、自明のこととして存在したのではなく、幾多の歴史を経て形成されてきたものなのです。「Condition Report」は、美術プロジェクトを通じて、キュレーターとアーティストがそのことを改めて東南アジア域内から考えてみようとするプロジェクトです。
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