Virtual Workings:
An e-residency for arts curators from the ASEAN region and Japan
ASEAN 及び日本のアートキュレーターを対象としたe-レジデンシー
参加者募集!
国際交流基金バンコク日本文化センターは、
アジア欧州財団(ASEF)ならびにASEFのアートウエブサイトである
culture360.ASEF.orgと協力してASEAN及び日本のアートキュレーターを対象としたe-レジデンシープログラム「Virtual Workings」を開催すべく、公募の受付を開始しました。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への対応として企画されたこの事業は、比較的経験の浅いキュレーターの能力開発を目的とした6週間のオンライン研修(レジデンシー)プログラムで、当該分野で豊富な経験のある専門家3名がメンターとして若手キュレーターを2名ずつ指導します。
「レジリエンス」「人々の声:インクルージョンと多様性をキュレーションする」「アジアのテキスタイルと現代の切迫した問題を織り交ぜる」という3つのテーマに分かれ、11月16日から12月22日にかけて6週間の研修と共同作業を行い、その結果をオンラインで発表していただきます。
応募期間は10月1日から30日までです。ぜひこの機会にご応募ください。
研修(レジデンシー)プログラムについて
<応募要件>
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- 国籍:ASEAN加盟国もしくは日本
- 独立したキュレーターとして、もしくは美術館、博物館、文化施設、展示会場等での2-5年程度の勤務経験がある若手のキュレーター(年齢は問わない)
- 英語でのコミュニケーションが可能な者(プログラムにおけるすべてのコミュニケーションや制作活動は英語によって行います)
- 応募は一名でも二名一組でも可能です。二名一組の場合は、国籍が異なる者同士とします。一名で応募した場合は、希望するテーマや関心領域にもとづいて主催者がグループ分けを行います。
- 国際的なプロジェクトに参加した経験のない方の応募を推奨します。(応募フォームに関連する質問があります)
- 新型コロナウイルスの流行拡大によりスキルアップの機会が失われた方の応募を推奨します。(応募フォームに関連する質問があります)
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<求められる活動内容>
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- 二人一組で同じグループとなった参加者、ならびにこのグループを担当するメンターと共に6週間のレジデンシープログラムに参加する。
(個人で応募した場合は、希望するテーマや関心領域にもとづいて主催者がグループ分けを行います)
- プロジェクトの進捗を、毎週、動画もしくはソーシャルメディアを使ってculture360のインスタグラムに投稿する。
- 最終成果物として、オンラインプレゼンテーション、フォトドキュメンタリー、ポッドキャスト、ビデオドキュメンタリー、疑似プロジェクトのプレゼンテーション等を制作する。これらの最終成果物は、ASEF.org ならびに関係機関のウエブサイトやソーシャルメディアにて発表される。
- ポッドキャストやビデオインタビューに参加し、今回のレジデンシープログラムから得られた経験をより広くアート関係者に共有する。
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<料金>
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- 参加費は無料です。
- 参加者には制作費として一人あたり500米ドルが支払われます。
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<応募方法>
以下のウエブサイトにアクセスし、応募フォームに必要事項を記入する他、添付書類をアップロードして、2020年10月30日(金)までに応募してください。
https://asiaeuropefoundation.formstack.com/forms/virtual_workings_application_form
<形態>
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- 参加者は二人一組のグループに分けられ、それぞれのグループに一人のメンターが任命されます。11月16日(月)から12月22日(火)までの6週間にわたり、この三人一組が共同でレジデンシーを進めます。
- 応募にあたっては二人一組での応募を推奨します。個人で応募した場合、主催者がグループ分けを行います。
- それぞれのグループは、メンターごとに設定されたテーマの下でレジデンシーを進めます。応募に際しては3つのテーマのうち、どれを希望するか希望順位を明確にしてください。希望順位は選考過程やグループ分けにおいて考慮されます。応募要項で示されているテーマの範囲は広いので、実際にプログラムを開始する際に参加者はメンターの協力を得てさらに内容を絞り込むこととします。
- 参加者はグループごとに最終成果物を制作します。最終成果物の形態は、オンラインプレゼンテーション、フォトドキュメンタリー、ポッドキャスト、ビデオドキュメンタリー、疑似プロジェクトのプレゼンテーション等です。これらの最終成果物は、ASEF.org ならびに関係機関のウエブサイトやソーシャルメディアにて発表されます。
- 参加者は、プログラム終了時にポッドキャストに参加したりビデオインタビューに答えることによって、今回の事業から得られた経験についてより広く共有することが求められます。
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<メンター>
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- ラッカナー・クナーウイッチャヤーノン(タイ)
アートコンサルタント、キュレーター
バンコク芸術・文化センター(BACC) 元館長
2011年から2018年までBACCの館長を務めた後、2018年に第1回バンコクアートビエンナーレを共同でキュレーションした。このビエンナーレはタイ国内外から70名以上のアーティストを招聘し、20ヵ所で開催された。2019年前半からは、新たに開始された「Jaras Light」(BACCの芸術と持続可能なエネルギーに関するプログラム)や「MACo」(2023年にチェンマイで開館予定の近代芸術美術館文化・芸術プロジェクトのアドバイザーを務めている。
- 高橋瑞木(日本/香港)
香港 Center for Heritage, Arts and Textile(CHAT)
エグゼクティブプロデューサー 兼 チーフキュレーター
1999年から2003年まで森美術館準備室で美術館の立ち上げを経験した後、水戸芸術館現代美術センターで学芸員として漫画、映画、ファッション、建築、パフォーマンス、現代美術等を扱った数々の展覧会を企画する。2016年からCHATで勤務するため香港に移住。2017年より現職。
- アマーレスウォー・ギャラ(オーストラリア)
インド アナント国立大学 International Institute for Inclusive Museum 所長
ジャワハルラール・ネルー大学(インド・ニューデリー)、オーストラリア国立大学、ザルツブルググローバルセミナー卒。現在はインド、アーメダバードにあるアナント国立大学で学部長とInternational Center for Inclusive Cultural Leadership(ICICL)の所長を務める。文化、ツーリズム及び開発のためのUNESCO UNITWINネットワークのICICLメンバー長。クイーンズランド大学(ブリスベン)博物館学教授、オーストラリア国立大学(キャンベラ)教授兼パシフィック・アジア研究科・持続可能な遺跡開発プログラム所長、アマラヴァティ遺跡チーフキュレーター、国際博物館会議(ICOM)副会長(2004-2007年)、ICOMアジアパシフィック委員会会長(1998-2004年)などを務める。アジア・ヨーロッパ博物館ネットワーク(ASEMUS)共同創設者。 |
<テーマ>
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- Resilience(レジリエンス)
レジリエンスとは、急な変化、長期的な緊急課題、新たな挑戦等に直面した際に適応して乗り越え、成長する能力である。21世紀において、人類はこれまでにないほどより頻繁で深刻な気候変動、環境悪化、移民流入、さらに最近の新型コロナウイルスの世界的流行といった変化に直面し、私たちは脆弱な状態に置かれ、未来は不確かなものとなっている。まさにレジリエンスの時代を生きていると言えるだろう。
レジリエンスは現代社会を生き抜くための基本的なスキルの一つと見なされている。今回のレジデンシーにおいて、新たな挑戦の時代に人生を向上させるために、レジリエンスとそれがもたらす利点について議論し、探求するのは興味深いことだ。芸術家と芸術の世界は、いかにこの変化に富んだ世界を、ストレスを軽減し、自己認識や前向きな関係や目的と共に前例のないスピードで熟考し、適応するのだろうか。
- First Voice – Curating Inclusion and Diversity (人々の声:インクルージョンと多様性をキュレーションする)
キュレーションは現代の文化経験を定義するプロセスであるという博物館学の議論は、キュレーターは強力なファシリテーターであり、イネーブラー(支え手)や仲介者になれるだけでなく、場合によってはマニピュレーターにさえなれることを証明した。キュレーターは、キュレーションの入り口やその文脈上のレンズを通じて表現を組み立てるにあたり、重要な倫理的な責任を負っている。文化的に深いアジアの二つの地域である日本と東南アジアから選ばれた二人組が共同でキュレーションを行う時、キュレーターであることが、どのように人種、民族、肌の色、性別、セクシュアリティ、年齢、能力、経済的地位、信仰といった文化的な垣根を超え、これらの課題を交渉することに関わってくるだろう。垣根の交差性はどうだろうか。そうする中で、彼らはどのように権利者としての当事者の声を一元化し、価値を決めていくのだろうか。どのように承認者であることを乗り越え、傾聴者、イネーブラー、ファシリテーターとなるのだろう。
- Interweave Asian textile(s) with contemporary urgencies
(アジアのテキスタイルを現代の緊急性と織り交ぜる)
テキスタイルは人類の歴史の中で最も古い芸術形態の一つであり、私たちの日常生活に身近な素材である。アジア各国にはテキスタイルに関する豊かな伝統と歴史があり、それぞれの地域の独特な文化と美学を物語り、地域のアイデンティティと強く結びついている。一方、テキスタイルはグローバル化以前から国際的な製品であった。テキスタイルのパターンや技術は地域から地域へと伝達され、貿易や交流を通じて現地化されてきた。そして近代テキスタイル生産は、綿花栽培での奴隷制や植民地主義による技術の搾取などの深刻な問題をもたらした。
今日のテキスタイル産業は、しばしば地域コミュニティの伝統的なテキスタイル生産を脅かし、大量生産による廃棄を引き起こしている。競争の激しいテキスタイル産業では、多くの女性労働者が低賃金でこの産業に従事している。テキスタイルは製品を作るための美しい材料であるだけでなく、私たちが直面している現代の緊急課題を考える材料を提供している。
このテーマについて参照となる展覧会についてこちらをご覧ください。
www.mill6chat.org/event/unfolding-fabric-of-our-life/ |
*応募に際してはどのテーマでのレジデンシーを希望するか順位を付けてください。
<選考方法>
国際交流基金バンコク日本文化センター、アジア・ヨーロッパ財団(ASEF)、3名のメンターから構成される選考委員会が選考を行います。
最終的に選ばれた参加者に対し、2020年11月9日(月)までに結果を通知します。
<日程>
公募受付 |
2020年10月1日(木)~30日(金) |
選考 |
2020年11月1日(日)~6日(金) |
選考結果発表 |
2020年11月9日(月) |
レジデンシープログラム |
2020年11月16日(月)~12月22日(火) |
最終成果物の発表とオンライン活動 |
2021年1月~2月 |
<主催機関>
国際交流基金バンコク日本文化センター
独立行政法人国際交流基金は、総合的に国際文化交流を実施する日本の専門機関で、「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」ことをミッションとし、「文化」と「言語」と「対話」を通じて日本と世界をつなぐ場をつくり、人々の間に共感や信頼、好意を育んでいくことに努めている。
バンコク日本文化センターは、国際交流基金のバンコク事務所として1974年に設立された。以来、日本とタイの相互理解を深めるため、文化芸術交流、日本研究・知的交流、日本語教育を主な3つの事業分野として、展覧会、講演会、映画祭、コンサート、舞台公演、シンポジウム、セミナー・研修など、タイ全土で様々な取り組みを行っている。
https://ba.jpf.go.jp/?lang=en
アジア欧州財団(ASEF)
ASEFは、アジア欧州会合(ASEM)
1の柱の一つである社会・文化分野の活動を担うために1997年2月15日に設立されたASEMにおける唯一の常設機関である。人物・文化・知的交流を中心に,有識者から一般市民に至るまでのアジア・欧州間の幅広い相互理解の促進や連結性の強化のための活動を行っている。
https://www.asef.org/
culture360.ASEF.org
2008年に開設され、ASEFによって管理されているオンラインプラットフォームである。アジア、ヨーロッパ51ヵ国から芸術、文化、文化遺産に関する最新情報を発信しており、年間28万件の閲覧数を誇る。アジア欧州会合(ASEM)が財源であり、アーティストや文化人、為政者/政策立案者をはじめとして国際的な文化協力に関心を持つすべての人に利用されている。
https://culture360.asef.org/
<協力>
CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)
CHATは、香港・荃湾(ツェンワン)にある南豊紡織の紡績工場をリノベーションした文化とビジネスの複合施設「The Mills」の産業遺産保護プロジェクトの一環として設立されたアートセンターである。展覧会や共同学習プログラムなどの多面的な事業を通じ、香港内外のテキスタイル産業や、現代アート、デザイン、ヘリテージをトータルに扱い、来館者に創造的な体験を提供することを目指している。
mill6chat.org
The International Centre for Inclusive Cultural Leadership (ICICL)
ICICLは、インドのアーメダバードにあるアナント国立大学内に設立された学際的なグローバルアクションシンクタンクおよび研究/実践ネットワークである。ICICLは、包括性、インスピレーショナルリーダーシップ、ならびにSDGs、UN
2030アジェンダ、ハビタットⅢにもとづく持続可能な遺跡開発に向けて取り組んでいる。ICICLはメンタリングおよびエンパワメントネットワークである。ICICLの研究、専門家、コミュニティ資本をアナント国立大学に結集している。
https://inclusivemuseums.org/
リンク:
https://culture360.asef.org/opportunities/virtual-workings-e-residency-arts-curators-open-call/
ソーシャルメディア用リンク:
https://bit.ly/VirtualWorkings-OpenCall
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[1] アジア欧州会合(ASEM)は、1996年に設立された政府間機関で、アジアと欧州地域間の協力関係を強化することを目的としています。(
www.ASEMinfoboard.org)